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ハシズムの危険

戦前の暗黒政治がまかり通る大阪市

橋下徹の政治手法を「独裁」と呼ぶのは止めよう。それは「恐怖政治」と呼んでよい。

3 Sep 2013 加筆修正 29 July 2012 初出

政治活動制限条例が成立(大阪市議会)

職員の政治活動を国家公務員並みに制限する大阪市の条例が27日の市議会本会議で、一部修正の上、大阪維新の会や公明、自民の賛成多数で可決、成立した。違反した場合は原則として懲戒免職にするとの規定を緩和し、停職や減給、戒告での対応も盛り込むことで維新と公明が合意した。8月1日から施行する。
 同条例をめぐって橋下徹市長は当初、違反者に罰則を科すことを検討していたが、「法律に違反する」との政府答弁書を受け断念。答弁書の「懲戒処分により地方公務員の地位から排除することをもって足る」との文言に着目し、原則懲戒免職にすると定めた。しかし、維新単独では過半数に達しないことから、公明の協力を得るために規定を緩和した。
 同条例では、地方公務員法の禁止事項に加えて、「集会で公に政治的意見を述べること」など10種の政治活動を新たに禁止している。
 27日の市議会ではこの他、(1)市長選前の一定期間、広報活動で市長の写真は使用しないことを定めた条例(2)職員労働組合への便宜供与は行わないことを定めた条例(3)局長級や部長級の職員の給料に定額制を導入する改正条例-も可決、成立した。
 橋下市長は本会議後、市役所内で記者団に対し「実質的に(公務員の)政治的中立性を守るというところは、今回の条例で一歩踏み出せるのではないか」と述べた。 (2012年7月27日 時事)

マスコミ報道は「職員の政治活動を国家公務員並みに制限する」と。 しかし国家公務員法の政治活動規制は戦後GHQにより押し付けられたもの。 国際的にもILOから再三の改善勧告を受けている。それらをマスコミはスルーする。

新たに禁止している「10種の政治活動」をマスコミは詳しく書かないので、ここに転載する。

第2条(条例で定める政治的行為)
(1)職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること
(2)賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を国家公務員又は本市の公務員に与え支払うこと
(3)政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し編集し配布し又はこれらの行為を支援すること
(4)多数の人の行進その他の示威行動を企画し、組織し、若しくは指導し、又はこれらの行為を援助すること
(5)集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声機、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること
(6)政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図書、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、若しくは多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、又はこれらの用に供するために著作し、若しくは編集すること
(7)政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること
(8)政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること
(9)勤務時間中において前号に掲げるものを着用し又は表示
(10)何らの名義又は形式をもってするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること

これらは(9)を除いては勤務中に限られてない。 休日や時間外に反原発デモへの参加をtwitterで呼びかけることも引っかかるおそれがある。 また、そのような集会に参加するのはよいが、マイクが回ってきてもスピーチしちゃいかん。 どこかでテレビのインタビューに遭遇したら、絶対、何も答えてはいかん。 反戦ソングを街頭で歌ったり、ネット上に公開するのも禁止。 ぼやき漫才のネタを書くのも、もちろんアウト。 などなど…。

「戦争反対」などと口にしただけでお巡りさんに引っ張られた、戦前の暗黒政治そのままじゃないか?

ヒトラーの独裁を許した者

以上で事の重大さは充分に分かるとは思うが、ここで私が気になっていることを書き加える。 それは、ヒトラーの独裁を許した戦前のドイツと、今の大阪と日本の状況がよく似ているということだ。

もちろんヒトラーが率いるナチ党は大衆の支持を受け選挙で多数を取ったので、ヒトラー独裁を許したのは当時のドイツの大衆だとも言える。 とはいえ、ヒトラーが首班指名を受けたときのナチ党は第1党だったが、過半数を占めてはいなかった。 ドイツ中央党などの協力が不可欠だった。

このドイツ中央党はカトリック系保守層を基盤としていたというから、さしずめ現在の日本での公明党や自民党にあたるのかもしれない。 公明党は橋下が率いる大阪維新の会と、来るべき総選挙での協力を条件に、大阪府市の議会での協力を約しているという。 橋下の暴走に手を貸す、公明党の果たしている役割は犯罪的と言える。 国政において民主・自民・公明が談合して消費税増税などを押し通そうとしているのも似た動きだ。

併せて、いまのマスコミの犯罪性も指摘しておきたい。消費税やTTP、原発の再稼働に関しても、国民の大多数が反対しているにも関わらず、主要全国紙がこぞって推進の主張を煽るのはどういうことだろう。 橋下を持ち上げることではとりわけ朝日新聞とテレビ朝日が先鋒の役割を果たしている。 原発では読売が今も昔も先鋒ではあるが、ある時期は朝日新聞もその推進役を担っていた戦犯の一人だ。 戦前、戦中に各紙が果たした役割は言わずもがなである。

ところで、戦前の日本とドイツで諸政党はその後どうなっただろう。 日本では共産党員や社会主義者は投獄、政党はこぞって大政翼賛会へと解消した。 ドイツでも共産党員は投獄、社会民主党は活動を禁止され、ドイツ中央党をはじめ諸政党も自主解散、ナチ党のみが残り、ヒトラーの独裁が完成した。 そして日本もドイツも、残虐な戦争へと突き進んでいったのだった。

最後に、なぜナチスを阻止できなかったのか、マルチン・ニーメラー牧師の告白を掲げておく。

 ナチスが共産主義者を攻撃したとき、自分はすこし不安であったが、とにかく自分は共産主義者でなかった。だからなにも行動にでなかった。次にナチスは社会主義者を攻撃した。自分はさらに不安を感じたが、社会主義者でなかったから何も行動にでなかった。
それからナチスは学校、新聞、ユダヤ人等をどんどん攻撃し、自分はそのたびにいつも不安をましたが、それでもなお行動にでることはなかった。それからナチスは教会を攻撃した。自分は牧師であった。だからたって行動にでたが、そのときはすでにおそかった。
( 丸山真男 『現代政治の思想と行動』 未来社 )


参考リンク


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