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ハシズムの危険

ここまで来た大阪市の暗黒政治

橋下徹の政治手法を「独裁」と呼ぶのは止めよう。それは「恐怖政治」と呼んでよい。

16 Aug 2012

ナチス支配のさきがけ

国会でナチ党が第1党となりヒトラーが首班指名を受けるのは 1933年のこととなる。 ドイツにおけるナチス支配のミニチュアは、その3年前に、テューリンゲン州で見ることができた。 1930年 ナチ党からフリックが内相兼教育相としてテューリンゲン州政府に入閣。 その政策は後のナチ党政権の政策の先駆けとなった。 州警察官の多くをナチ党員・シンパにすげ替え、大学にもナチ党お抱え学者を送り込んだ。反戦映画を上映禁止とするいっぽう、反ユダヤ主義の作品は好き放題にさせた。 (ウィキペディア/ヴィルヘルム・フリック)

さて、今日の日本で迫り来る暗黒政治を見たければ大阪市に来ればよい。

喫茶店で10分休憩もダメ!?

喫茶店で10分休憩もダメ!?大阪市、職員3人を懲戒処分

 大阪市は9日、外回りから職場に戻る途中、1~3回にわたり喫茶店に10分程度立ち寄ったことが地方公務員法上の職務専念義務違反などに当たるとして、固定資産税の滞納調査などを担当する財政局の男性職員(35)を減給1カ月、男女職員3人を戒告の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、喫茶店での短時間の休憩を理由とした懲戒処分は前例がないが、橋下徹市長が職員の服務規律の厳格化を唱える中、「処分規定を厳しく適用した」としている。
 処分された4人は昨年秋~12月、調査先から市税事務所に戻る途中、喫茶店に立ち寄った。
 今年3月、市に匿名の通報が寄せられて発覚。4人は聞き取りに「税滞納者への説明で疲れてのどが渇き、職場へ戻る前に頭を切り替えようと思った」などと説明、処分への不服は申し立てていないという。 (2012年8月9日 産経West)

「匿名の通報」を使うのがお好きなようだ。さておき、10分休憩x3回で減給とは ブラック企業も顔負け。「そこまではやり過ぎ」と諫める市幹部は居なかったのか。 そういう幹部はこの暴君にボコボコにされるんでしょうね。 ところでこの橋下という男、府知事時代には公用車でスポーツジム通いしていたのだが。 「自分には優しく、他人には厳しく」 「強きを助け、弱きを挫く」橋下の面目躍如。

少し救われた気がするのは見出しに「!?」と驚きと疑問符を付けて産経が報道したことだ。そういう反応が常識というものだろう。 ネット検索によれば3紙(産経、読売、毎日)が地方版で報じたらしい。 朝日新聞がどう報道するか興味があったのだが、検索した限りでは見つからなかった。 橋下応援団の朝日ならばスルーするのではなく「橋下市長の断固たる姿勢に拍手」とでも書いてもらいたかったところだ。

休憩中に喫煙で停職3カ月

2013年2月28日追記

たばこ禁止の研修中に喫煙 大阪市、職員を停職3カ月

 大阪市は28日、服務規律を徹底するための研修中に喫煙したとして、建設局西部方面管理事務所の男性技能職員(58)を停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。
 市によると、職員は1月9日午前11時25分ごろ、勤務時間に含まれる5分間のトイレ休憩中に研修施設を出て、付近の路上でたばこを1本吸った。勤務時間中の喫煙が懲戒処分の対象になると講義を受けた直後だったため、市は「悪質と判断し、通常より重い処分にした」と説明している。
 職員が上着を羽織って出て行ったため、不審に思った市の担当者が尾行して発覚した。 (2013/02/28 共同)

後ろ付けるか……。

何のための入れ墨調査?

 大阪市は30日、職員約3万4千人を対象に5月に実施した入れ墨の有無を問う調査について、橋下徹市長の職務命令に従わずに回答拒否した6人を懲戒処分にすると発表した。市職員基本条例では、職務命令違反は戒告または減給と定めている。 (2012年7月31日 朝日)

ある毎日新聞記者が書いていたように、そもそも自己申告しなければ分からないような入れ墨なら職務に何の問題があるのか。 また、この「入れ墨」問題の事の発端が何なのかよく見えない。 「大阪市立の児童福祉施設に勤務する30代の男性職員が、子供たちに自分の入れ墨をみせたり、暴言を吐いたりした (2012年2月28日 産経West) 」 というのだが、市はその証拠を掴めなかったようで真偽のほども定かでない。ほんとうに焦眉の課題だったのだろうか? はっきりしているのは、周囲が訝るにも関わらず橋下が入れ墨調査に執心しているということ。 朝日新聞の見出しを時系列で追ってみる。

さきの「職員アンケート」でミソをつけたので (当サイト内記事) 、江戸の仇を長崎で撃つつもりなのか? まずとんでもないものを出しておいて、それが受け入れらないと見るとすぐに引っ込め、 こんどは少しハードルを下げたものを持ち出すという、彼一流のやり方に我々は少し無防備かもしれない。 大阪市教育委員会はさきの「職員アンケート」を撥ね付けた。 「入れ墨調査」も1度は撥ね付けた。しかし執拗な橋下に今度は折れて、「任意の」申告という形で受け入れている。

「入れ墨」なら抵抗しにくいだろうという読みだろう。 橋下の魂胆は入れ墨が課題なのではなく、市職員基本条例による懲戒処分発動の口火を切りたかったのだろう。 抵抗する 3万4千分の6人には拍手を送りたいが、各界の反応が鈍いのが残念だ。 いや、抵抗が難しいところを巧妙に突いた橋下に拍手を送るべきなのか。

海外の反応をひとつ紹介しておこう。 ドイツの新聞でこのことが大きく取り上げられ、「非常に危険な人が出てきた」と思われているとか (2012年6月6日 赤旗) 。

日教組主催なら貸さぬ

 労働組合への便宜供与を行わないとする大阪市条例を理由に、教育研究集会の会場に小学校を使わせないのは違法として、同市教職員組合が14日、市を相手に使用許可を求める義務付け訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴状によると、市教組の教研集会は毎年、市内の公立小を会場に開き、今年は9月8日に予定。市は労組への便宜供与を禁じる規定を盛り込んだ条例を今月1日に施行し、7日に校長から使用不許可の連絡を受けたという。
 原告側は「組合活動を制約し違憲」とし、教育基本法や学校教育法などにも違反しており無効だと主張している。 (2012年08月14日 時事)

教員の勉強会。それが教職員組合の主催ならば貸せないのか。 根拠となったのはこの7月27日、大阪市議会最終日に維新・公明・自民の賛成多数で可決成立した「大阪市労使関係に関する条例」。 この第12条に「労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないものとする。」という一文がある。 市役所内に置かれていた組合事務所追い出しの根拠作りかと思ったが、こういう形でも運用されるのか。

これを進めていくと職場単位での組合員の会合も、市施設の外で行なえということになるのだろうか? そうだとしたら組合活動そのものを認めないブラック企業ばりとなる。 新聞報道ではほとんどこの条例に内容に触れられていないが、団体交渉を大きく制限するなど、条例全体が労働法を無視するブラック企業並みなのだが。

ちなみに「労働組合法」は第7条の3号で、使用者が労働組合の運営に「経理上の援助を与えること」を不当労働行為として禁止するいっぽう、 但し書きで、福利・厚生基金に寄付することや「最小限の広さの事務所の供与」をすることは許している。 構内に組合事務所を提供しない会社をブラック企業だとは言わない。統計的には知らないが、官公庁か民間の会社かに関わらず、構内に組合事務所を提供しているのはわりと普通だと思う。 職場会は時間外に職場で行われるのが普通。

暗黒政治に手を貸す大阪市議会

この記事で出てきた「大阪市職員基本条例」、「大阪市労使関係に関する条例」、それに別記事で取り上げた「政治活動制限条例」は、 ともに大阪市議会で維新・公明・自民の賛成で成立したものだ。 総選挙での協力を条件に維新と密約を交わした公明党はともかく、大阪市の自民党はもう少しまともかと思っていた。 なぜかというと大阪の自民党員のうち最悪な部分が「大阪維新の会」に移ったので、残った自民党はそれよりはましなはずだった。 大阪市議会に上程された教育関連の2条例案に自民党は反対し、維新・公明の2会派のみの賛成で可決されている。 その自民党もけっきょくハシズムに協力とは。

何度も言うが、ヒトラーが首班指名を受けたとき、ナチ党は第1党だったが過半数を占めてはいなかった。 ドイツ中央党などの協力があってナチスは歩を進めたのだった。

「組合=共産党か社会主義者」との観念のもと、「それを押さえ込めるならば」との思いで、保守党派はハシズムの動きに同調しているのかもしれない。 「日教組」の集会を邪魔できなのなら願い通りなのだろうか。 組合の役割に対する認識が、まず誤っているのだけれど、 自民党の大阪市議会における行動はその党名に掲げる自由と民主主義を侵すものだ。それがやがて日本をどこへ導くかを気に掛けて欲しい。

「他人ごと」と済まされぬ

もういちど、なぜナチスを阻止できなかったのか、マルチン・ニーメラー牧師の告白を掲げておく。

 ナチスが共産主義者を攻撃したとき、自分はすこし不安であったが、とにかく自分は共産主義者でなかった。だからなにも行動にでなかった。次にナチスは社会主義者を攻撃した。自分はさらに不安を感じたが、社会主義者でなかったから何も行動にでなかった。
それからナチスは学校、新聞、ユダヤ人等をどんどん攻撃し、自分はそのたびにいつも不安をましたが、それでもなお行動にでることはなかった。それからナチスは教会を攻撃した。自分は牧師であった。だからたって行動にでたが、そのときはすでにおそかった。
( 丸山真男 『現代政治の思想と行動』 未来社 )


参考リンク


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