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ハシズムの危険

究極の平等、公平税制?フラットタックス

橋下徹の政治手法を「独裁」と呼ぶのは止めよう。それは「恐怖政治」と呼んでよい。

1 Apr 2012

ベーシックインカムの財源論

さきに、大阪維新の会の政策骨子『維新八策』に出てくる「ベーシックインカム」について書いた(『ホリエモンも歓迎するベーシックインカムの誤解 』当サイト内)。 これとセットになる「フラットタックス」について記す。

「ベーシックインカム」というのは、貧乏人も金持ちも、働くものも働かないものも、最低生活の保障として国民一律に一定額を支給しようというもの。 仮に100万円を1億2000万人に配ると 120兆円という計算になる。 現在の国が出費する社会保障関係費総額26兆円、これを含む一般会計90兆円程度(2012年度予算案)と比べると、とほうもない金額に思えるが、 特別会計にあるものや地方、また企業が負担している保険料など、もろもろも含めて考えると、あながち破天荒な話でもない。 一律支給なので行政判断が要らない。あまたの社会保障制度の手間が省けて効率的というのがこの話を魅力的に見せている。

それで税負担を「フラットタックス」とする。たとえば消費税を20%、さらに所得税を所得に関わりなく定率20%とする(じっさいはこれでも足りないだろうが、計算の便)。 「所得に関わりなく」なので年収200万円の人からも所得税40万円を、100万円支給されて合計300万円使ったとすると、消費税60万円。 税金合計100万円はとんでもない重税のように見えるが、支給された100万円と差し引きすると実質は無税となる。 これを年収400万円の人で計算をすると差し引き80万円の課税(400万円から見ると20%) 800万円の人で差し引き240万円の課税(800万円の30%)。 というように、金持ちほど負担率が高いという累進性がある。

もっとも公平な制度?

慣れないカタカナの「ベーシックインカム」と「フラットタックス」。これらはセット物なのだが、日本語で言えば、 貧乏人も金持ちも、おしなべて同額支給、定率課税。それでいて金持ちが多くを負担し貧乏人を救済という、驚くべき仕組みになっている。 これを共産主義とは呼ばないにしても、なんという平等、なんと公平なシステムだろうか。

まてよ。どこかで聞いた気がしないか? 「貧乏人も金持ちも、おしなべて負担する」「いちばん公平」と、消費税が呼ばれなかったか。 しかしじっさいには貧乏人に重くのし掛かる。それが指摘されると、低所得者に返金を検討するとか。 もしそうすると、この考え方と似通ってくる。 「同額」とか「定率」とかいう言葉が「平等」、「公平」を連想させるが、それは印象操作にすぎない。 じっさいにはこれらの施策は格差を拡大し弱肉強食を助長する。 貧乏人は地獄に、中間層は増税にあえぎ、大金持ちが笑う。

なぜ実現しない?

橋下の注釈どおり「これは不可能な政策と言われています」。 なぜか?

この政策はもちろん橋下徹や大阪維新の会の発案でも専売でもなく、新自由主義の旗手、経済学者ミルトン・フリードマンなどが半世紀ほど前に提唱したものがベースになっている。 フリードマンについては面白いので別記事にするとして、 上に述べたようにこの提案は印象操作に使われるだけで、本当に実施すると 格差の拡大は助長され、治安の悪化や景気の後退など大変ことになることが自明だから、実現しないのだ。 病気などの障害があって働けない人はどうする? など、少し具体的に考えるとそれが気づかれる。 そのことは さきの記事 を見て欲しい。

そのままでは実現していないが、国の政策はそういう方向には動いている。 戦後税制で基本になっていた累進税率は1980年代まで最高で75%あったのが、現在では40%まで引き下げられている。 贅沢品に掛けられていた物品税は消費税に置き換えられ、野田内閣はその税率を10%以上にするのに「命を掛ける」 いっぽうで法人税の最高税率は5%引き下げ。

しかし国民の抵抗は大きい。 マスコミこぞって後押しし、野田総理が「命を掛ける」消費税引き上げも、なかなか進まない。 そこで橋下徹は胸を張るだろう。 「私なら国民を言いくるめ、強硬突破できますよ」と。


参考リンク


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