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「原子力は夢のエネルギー」

太陽光発電こそは「夢のエネルギー」なのか

24 Jul 2011 第1節改稿 (15 Jul 2011 初出)

「原子力は夢のエネルギー」
そう、そしてそれは悪夢だった……。

原発延命策としての太陽光発電推進

原子力の夢は壊れた。次には太陽光発電に夢を求めるのだろうか。 しかし、これが原子力に代替できるとかできないとかという議論は、いいかげんにやめないか。 太陽は無限のエネルギー源。地球上のすべてのエネルギーは太陽に由来している。 だからといって、太陽光発電は必ずしも優れたものではない。 その太陽光発電に脚光を与えるのは、むしろ原発を延命させるための手立てでもある。(24 Jul 2011 この節改稿)

太陽光発電がもてはやされた理由

今年2011年4月分から「太陽光発電促進付加金」というものが電気料金に加算されている。 これは需要家の太陽光発電設備で余った電力を、電力会社が供給のおよそ2倍の価格で買い取る、2009年から始まった制度が根拠となっている。 各家庭、企業で太陽光発電が増えると、その買い取り費用は大きくなる。 その費用を消費者が負担する仕組みが、この「太陽光発電促進付加金」だ (東京電力「太陽光発電の余剰電力買取制度について」) 。 この制度は、「脱原発」が唱えられる前から始まっている。

制度を拡張する再生可能エネルギー特別措置法案は、奇しくも大震災のあった2011年3月11日の午前中に閣議決定されている。 この時点で政府のエネルギー政策は昨年2010年6月18日に閣議決定されたエネルギー基本計画(経済産業省のページ) だった。この中で、CO2を排出しない今後の基幹電源として原子力を位置づけている。 その下での太陽光発電、再生可能エネルギーの促進策とはどういうことだろう。

「新エネルギーも。原子力も」

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「チャレンジ!原子力ワールド」
(文部科学省が2010年に作成、配布した中学生向け副読本)より

2006年に作られた「原子力立国計画」というものがある (資源エネルギー庁2006年8月総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告書)。 この中で「CO2の排出削減には、太陽光発電や風力発電等新エネルギーの導入も非常に有効な手段であると考えられるが、現時点では供給安定性や経済性等の課題が存在している。」 「したがって、エネルギー政策は、「新エネルギーか原子力か」ではなく、「新エネルギーも。原子力も」という考え方で進めていくことが肝要」としている(同報告書p14-15)

お馴染みの「原子力1基分の電力量を太陽光発電で実現するには山手線の内側と同じ面積が必要」 などという議論は、この文脈で同報告書に現れ、2010年に文部科学省と経済産業省資源エネルギー庁が中学生向け副読本として作成・配布した 『チャレンジ!原子力ワールド』でも図入りで解説されたものだ。


太陽光・風力は原子力の当て馬

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(前出「チャレンジ!原子力ワールド」より)

しかし、同報告書にもある電源別のCO2排出量のグラフ。よく見るとCO2削減にもっとも効果的なものは太陽光発電や風力発電ではなく、水力や地熱発電のほうが優れている。 太陽光発電や風力発電では建設時にCO2の発生が大きい。これは発電能力あたりの設備コストが高いことも意味する。 現在の太陽電池の効率は10%前後。 太陽電池の効率は今後上昇するとしても、飛躍は望めない。 夜はもちろん、曇りや雨の日は発電量はとても小さくなる。

太陽電池の製造には大量の電力を必要とする。 シャープの太陽電池を製造する工場の屋根に太陽電池を敷き詰めるという計画があるという (シャープ2008年6月23日「堺市臨海部におけるメガソーラー発電計画」の推進について)。 計画から3年経ってまだ実行されていないが、 これが完成したとしても、その電力で太陽電池の製造を賄えるわけではない。

けっきょくのところ、さきの「原子力立国計画」でCO2削減に必ずしも優れていない太陽光や風力を当て馬にしたのは、 「雨の日や風の無い日のために、原発は必要」という説明がやりやすいからだ。

現在の太陽電池の効率は10%前後。残り9割は熱となる。 太陽電池の効率は今後上昇するとしても、飛躍は望めない。 残る熱を利用することを考えなければ無駄になる。 温水器とのハイブリッドなシステムなら、よりましだ。あるいは太陽光パネル裏の廃熱を、夏は単に大気中にファンで掻き出せば冷房負荷の軽減になるし、 冬はその熱風を床下に誘導すると、夜間まで暖房の足しになるだろう (NEDO技術開発機構の技術解説「太陽熱利用」)

太陽光発電は真夏の日中、電力需要のピーク時に発電量が増すという性質は悪くない。 しかしその製造に大量の電力を消費し、変換効率も現状たかだか10%台前半、発電量も不安定な太陽光パネル。 金持ちはこれを設置して電気代を節減し、そのコストアップは貧乏人に負担させる。そのうえで「原発はやはり必要でしょう」というのが現在の政策なのだ。 こんなものにいつまでも囚われていてはいけない。

地の利を活かす

スペインといえば、ドンキホーテが風車に突進した物語を思い起こす。 スペインは風力発電でドイツを抜き、2011年3月の統計で同国の電力の21%を風力で供給している (AFP BB News 2011年04月01日) (SPAIN BUSINESS)。 スペインは太陽の国でもあるので、太陽光発電も盛んだが、 太陽電池を用いるのではなく、太陽熱を利用して発電する方法も用いられている (ヘマソーラー:ちらっと「しんぶん赤旗日曜版」)。 イタリアは日本と同じく火山国で、地熱発電に力を入れている (世界の地熱発電所/イタリア)。 このように、それぞれのお国柄に合ったものがやられている。

太陽熱発電は太陽光発電に比べて効率が格段に良いことと、溶融塩などの熱媒の蓄熱作用により安定した発電が可能(日経2010年11月22日 /ウィキペディアなど) 。 しかし太陽光発電よりましとしても広大な面積が必要だし、梅雨のある日本にはあまり適していないと私は思う。 唯一の適地は北海道帯広かと思えたが、本州以南で電力需要の大きい8月は期待できそうだが、7月は悪いようだ。北海道で電力需要の大きい冬季だが、雪は少ないようだが、太陽高度が低い分、出力は低下。 (帯広の四季)

豊かな自然と資源とに恵まれた日本

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家中川小水力市民発電所「元気くん1号」
(都留市役所のホームページ)

日本を資源の無い国だというのは、そう思わされてきたという面がある。 日本では石油が採れないということだけで、じっさいは資源と自然に恵まれた国なのだ。 日本では雨が降る。これは当然だと思われるかもしれないが、地球上のどこでも雨が降るわけではない。 山があり、雨が降る。この日本では水力や地熱が豊富にある。太陽光や風力は、はっきり言うとあまり向いていない。 未開発の包蔵水力は 1,904万kw、原発にすると20基分ほどという (資源エネルギー庁の水力のページ) 。 最近は高低差の小さいところでも、あるいはダムがなくても発電できる技術が開発されており、 中小水力、マイクロ水力発電の可能性は広がっている。

地熱が豊富なことはいうまでもない。温泉としての利用との兼ね合いに考慮は必要だが、地熱発電は今後も有望だ。ほかに潮力もある。

また、日本の山は緑だ。これも当たり前のことではない。明治から戦後すぐの時代にかけて日本の先達たちは木を植え続けてきた、その結果によるものだ。 それを放っておいて輸入木材を使うから、山は荒れ放題で、山はその怒りを花粉にしているのだが、日本人はその喚起に気が付かない。 間伐材を石炭に混ぜて火力発電所で燃やすということはじっさいにやられている。 これを進めると山は元気になり、CO2も減り、花粉症対策にもなるのだが、一部では輸入木材を使っていることもあるという。妙な話だ。 (林野庁「木質バイオマス」2011年6月14日「木質バイオマスのエネルギー利用に関する検討会」) (日本林業調査会)

醗酵技術は日本のお家芸とも言える。非可食の草木からのバイオエタノールの製造にはぜひ期待したいところだ。 畜産が盛んな国ではないが、家畜のし尿からのメタンガスや、都会では生ごみの活用も考えられる。 ゴミといえば焼却炉の余熱利用だけでなく発電も可能だ (東京都環境局のページ)

食料問題も含めた問題だが、豊かな自然と資源に恵まれたこの国で、我々はどう生きるべきかを考える時だと思う。

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